朝晩涼しく、秋の気配が漂ってきたこの頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
H25年10月号の豊田包括たよりができましたので掲載させていただきます。
今号は認知症をテーマに取り上げています。世間で話題の終活の特集ページもありますので是非ご覧下さい。
回 覧
だ よ り
H25, 10月 Vol. 23
静岡県磐田市森岡150番地
磐田市豊田地域包括支援センター
TEL 0538-36-1300
FAX 0538-36-1301
みなさんこんにちは。今年は本当に暑い夏でしたね。8月12日、高知県四万十市で最高気温が41.0℃となり、日本の最高気温の記録が更新されたと報道されたのは記憶に新しいことと思います。そんな暑い夏が過ぎ、心地よい秋風と秋を伝えるおいしい味覚に、ほっと心癒されている日々を送っています。
先日、総務省統計局が発表した統計(平成25年9月15日現在推計)にて、65歳以上の高齢者人口3,186万人、総人口に占める割合は25.0%となり、人口、割合共に過去最高となりました。前年(3,074万人、24.1%)と比べると112万人、0.9ポイント増と大きく増加しており、これは第一次ベビーブーム期に出生した昭和23年生まれが、新たに65歳に達したことが背景にあります。
また、高齢化が進むなか認知症高齢者は462万人に上ることが、厚生労働省研究班の調査でわかりました。誰でも年をとると、もの忘れを自覚するようになります。多くの場合は老化に伴う自然な現象なのですが、「認知症」を発症していることもあります。認知症は現在では残念ながら完治しない病気ですが、早期に診断されれば適切な医療やケアで進行を抑えることができます。しかし、病状の進行により日常的な支援が必要になり、介護する家族は気が休まらず心身共に疲れ、本人は「家族に迷惑をかけたくない」と苦しんでいます。そんな家族や本人にとって、介護保険制度等の社会的な支援を利用していく事にあわせ、周りの人の理解と支えがとても大切になってきます。「認知症について一緒に考える」「困っている人がいたら声をかける」そんな一歩からはじめ、さまざまな人たちが連携して支えていく地域づくりが求められています。
8月27日、北部地区民生・児童委員さんと豊田地域に事業所があるケアマネジャーさんとのワークショップを行ないました。それぞれ立場は違いますが、地域の高齢者の生活を支えてくれています。ワールド・カフェという方法で「こんな豊田地域になったらいいな ~高齢者と関わる立場から~」というテーマで意見交換をしました。「あいさつができる地域でよかった」と改めて地域の良さを再発見できたり、「地域のつながりは大切」「地域づくり福祉の輪を作りたい」などの意見が出ました。各々の活動の中で感じていることや思いを話していただいた事はとっても貴重な財産となりました。このような意見を地域づくりに活かしていきたいと思います。
広がる認知症サポーターの輪
認知症を正しく理解し、認知症の方や家族を支援するための講座「認知症サポーター養成講座」が様々な場所で実施されています。全国では目標の400万人を達成し、磐田市ではH25年8月末にて5,342名の方がサポーターになりました。認知症サポーターは特別なことをやる人ではありません。認知症の方や家族が安心して暮らせる街づくりを目指して、「認知症を理解しよう」「地域で見守ろう」という考えが地域で広がりをみせています。
豊田中学校1年生
H25年9月6日に授業の一環で1年生全員を対象に講座が実施されました。市内で活躍するキャラバンメイトの方と包括との協働で開催しました。1年生は10月に福祉施設での実習が予定されており、福祉仕事出前講座、車椅子体験、認知症サポーター養成講座と一体的な福祉教育が行われています。受講した生徒の2/3は核家族であり、高齢者と直接接する機会は少なくなっているのが実情です。受講前には「認知症がどういうものか知らない」「あまり関わりたくない」「自分には関係ない」という意見がありましたが、受講後のアンケートでは、「どこかに認知症の人がいたら助けたい」「認知症の人には助けが必要」「みんなのサポートがあれば生活できる」「認知症は大変な病気だけれど、周りが優しく接したり、気遣ったりすれば安定した生活ができるんだ」とたくさんのあたたかな感想が寄せられました。これからを担う若い力の大きさを実感し、子どもたちへの教育の有用性を改めて感じました。
磐田市役所 豊田支所職員
H25年9月5日終業後に支所内にて豊田支所職員への講座が実施されました。窓口に認知症の方が来られることも多く、「正しい知識を知りたい」「自分の対応でよいのだろうか」との声を受け、豊田包括が講師となっておこないました。講座では認知症の症状や対応についての講義、寸劇、グループワークと様々な方法で、職員が日頃から抱えている疑問や不安に応えられるような内容としました。寸劇では職員に高齢者の対応を実演してもらい、目線を合わせる、口頭だけでなく紙に書いて渡す、ゆっくりペースを合わせる等高齢者の立場に立った丁寧な対応が演じられました。終了後には参加者より「窓口対応に活かしたい」「不安な気持ちを受け止めて対応したい」「認知症の祖父に優しく接しようと思いました」との声が聞かれ、窓口業務だけでなく、日常の生活の中にも活かしていただいています。
富岡西地区社会福祉協議会
H25年9月21日に、豊田コミュニティセンターにて富岡西地区社会福祉協議会主催の認知症サポーター養成講座が地域にお住まいの民生児童委員、福祉委員、保健委員を対象に行われました。富岡西地区の役員であるキャラバンメイトの方による講義は地域の実情を踏まえた分かりやすい話や最新の情報が盛り込まれ、自分や自分の家族がそのような状況になったらどうすればよいかと考えさせられる内容でした。その後、会長より参加者の大半が50代以上であり、明日は我が身であると他人事でなく自分の問題として考えていくことが重要であるとのお話がありました。
富岡西地区社協は「みんなで取り組もう、助け合いのまちづくり」をスローガンに地域福祉を進めています。75歳以上の独居高齢者への配食サービス等の高齢者支援、納涼祭やファミリーコンサート、クリーン大作戦、バーベキュー大会等のコミュニティー促進活動、富岡西倶楽部として歴史講座等の勉強会の開催等、多岐にわたって地域の理解と絆を深める活動を行っています。民生児童委員と福祉委員が連携した見守り活動を行い、今年度は高齢者へのアンケートを実施しています。来年2月には地域住民対象の認知症サポーター養成講座も予定されており、地域全体でより良くしていこうとの取り組みが行われています。
第3回認知症フォーラム IN 磐田
~認知症の方やそのご家族を地域で支えるために~
日時 平成25年11月2日(土)13:30~16:30
場所 磐田市総合健康福祉会館 iプラザ2F ふれあい交流室
定員 一般市民 180名 【入場無料】 予約不要
講演 「認知症を理解しよう ~開業医の立場から~」
演者 あんざいクリニック 院長 安齊 正興氏
DVD 「認知症を学び地域で支えよう」
シンポジウム 「認知症があっても安心して暮らせる地域に」
認知症フォーラムも第3回目を迎え、地域で見守り支えてくれている方々に参加してもらい、認知症の方が安心して暮らせる地域づくりを目指したフォーラムとなっています。 認知症の方が住みよい地域は誰もが住みよい人にやさしい地域ではないでしょうか。磐田をそのような街にしていきましょう。ぜひ、ご参加ください。
~終活特集~
世間で注目を集めている「終活」という言葉をご存知でしょうか。昔は口にすることも憚られてきた最期について元気なうちに考えておこうという気運が高齢者を中心に高まっています。それは家族が考えるべき問題だという風潮もありますが、多様化した生活の中で自分の生き方の問題として捉える人が増えてきています。そして終活は「遺される人への思いやり」と言われています。現代は医療技術や施設環境が進み、大切な人の最期を家族が決めねばならない時代となり、家族は非常に迷い苦しみます。この問題に正解はありません。これまでの人生を振り返り、人生のバトンをどのような形でつないでいくかを自ら考え、家族に伝えていくことが誰にとっても大切なことではないでしょうか。
~エンディングノート~
自分の最期について家族と話し合うことができれば一番よいのかもしれませんが、なかなかそれは難しいものです。そのような時に「将来、自分に万一のことがあった時に備えて、家族やまわりの人に伝えたいことをあらかじめ記入するノート」を活用します。それがエンディングノートです。このノートには医療や介護、葬儀、遺産相続、お墓など高齢期において気になるテーマがすべてといっていいほど盛り込まれています。将来直面するであろう問題について具体的にイメージできるのが利点です。また、「介護の手続きや財産管理を誰に頼むか」と相手を自ら選ぶ欄もあり、今後の生活の中で自分の想いを尊重してもらうことが可能です。
~任意後見制度~
人は年をとるにつれ、次第に物事を判断する能力が衰えていくことは避けられません。そのような場合に介護等の手続きや財産の管理など日常生活にかかわる事柄を自分の代理としておこなってくれる人(任意後見人)を自ら選んでおくという任意後見制度というものがあります。自分の人生を自分らしく過ごすために、元気なうちに自分のことを安心して任せることができる人にお願いをし、自分の思いを伝え、代理契約を公正証書にて結んでおくことはとても大切なことです。任せられた人も事前に契約を結び、財産の詳細等を把握しておくことができるので、制度に基づいて必要な事柄を行うことができ、トラブルになることなく、本人の意思を尊重した支援を行うことができます。自分のことを任せる人は親族の中から選ぶことも出来ますし、司法書士や行政書士等の専門の方にお願いすることも可能です。最近は若くして脳梗塞を発症する方や認知症を患う方が増えてきています。50代、60代の若い世代の方から備えておく必要のある制度ではないでしょうか。
~遺言書~
遺言書は民法で定められた遺言者の意思表示です。遺言書を残すことで自分の思いや感謝を家族に伝えることが可能となります。遺言書は、大きく分けて自分で全ての文章を書く自筆証書遺言と法律の専門家である公証人に公証役場で作成してもらう公正証書遺言の2種類があります。公正証書遺言についてご相談できる最寄りの公証役場は袋井公正役場となります。相続が争続とならないよう自分の思いを形にしてみてはどうでしょうか。
「終活」を通じて、自分の人生、家族との絆をより豊かなものにしていきましょう!